東京高等裁判所 昭和43年(ネ)2543号 判決
控訴人は、被控訴人両名は認知請求権を放棄したものであり、仮りに認知請求権の放棄が無効であるとしても、本件認知の請求は権利の濫用であると主張する。しかして、被控訴人両名、杉山はまおよび控訴人間において、控訴人主張のような調停が成立し、控訴人が右調停において定められた贈与を履行したことはいずれも先に認定したとおりである。しかしながら、認知請求権は調停手続においてもこれを放棄することができないものと解するのが相当であるから、被控訴人両名が父たる控訴人に対する認知請求権を放棄した旨の主張はその理由がなく、また右のような調停が成立し、控訴人が調停において定められた贈与を履行したとの事実があつたからといつて、そのために被控訴人両名の本件認知請求権の行使が権利の濫用となる筋合のものではなく、他に本訴請求が権利の濫用に当るとの事実を認めるに足りる証拠はないから、控訴人の上記主張はいずれも採用することができない。
(平賀 石田実 安達)